図解で知ろう!本当のこと

化粧品編

化粧品による被害
 国民生活センターは、毎年、消費者が商品やサービスでどのような被害を受けたかを、全国各地の消費生活センターに寄せられた苦情をもとにして集計し、「消費生活年報」を発行しています。この中の「危害・危険情報」によると、商品分類別危害発生件数で「化粧品」は、毎年ほとんどトップです。他は、「エステティックサービス」・「健康食品」で、ワースト3の常連です。
 実際に受けた被害内容のトップは「皮膚障害」で、全件数の約40%で、化粧品単独の場合は、約90%が皮膚障害です。しかし、肌のシミ・カサツキ・湿疹などの原因が化粧品だということに気づいていない人もいるので、実際の苦情はもっと多いはずです。

 

「指定成分」とは?
 化粧品のパッケージの裏側を見ると表示成分として「パラベン」・「エデト酸塩」・「着色料」「香料」などか書いてあります。これらが「指定成分」といわれるものです。
 「指定成分」とは、『一部の人にアレルギーなどの皮膚障害を起こす恐れがある』として、厚生省が商品に表示するように指定した物質のことです。要は、「アレルギーや皮膚障害を起こす可能性がある成分が入っていますよ」という表示ということになります。現在、102品目が指定されています。
 1980年に、この指定成分の表示が義務付けられた背景には、1970年代に日本の女性を恐怖に陥れた「黒皮病」という社会問題があります。大手化粧品メーカーは賠償金を支払うという事態にまでことが及んだのです。それまでは化粧品にはまったく何の表示もないずさんなものでした。

 

「指定成分」以外は大丈夫?
 「指定成分」は102品目ですが、化粧品の原料として厚生省が許可している物質は、約2800品目あります。もちろん指定成分以外の物質でもアレルギーや皮膚障害を起こす可能性のあるものや発ガン性が疑われているものがあるのです。つまり、指定成分以外は何が使われているのかまったくわからないのが現状です。
 欧米諸国では全成分を表示するのが普通であり、日本でも2001年4月から全成分表示が義務付けられます。このことによって、本当の意味で化粧品の危険度チェックが可能になるわけですが、今度は使う側自らが知識をもって危険性を判断する必要が出てきます。いいかえれば、使用者の自己責任が求められるのです。

 

化粧品に含まれる危ない成分
 化粧品の成分は大きく分けると「油性成分」,「乳化成分」,「色素・顔料・香料],「防腐剤・殺菌剤・酸化防止剤」,「特殊成分」になります。これらが混ぜ合わされ、練り合わされて化粧品になるわけです。これらの中で障害が起こる可能性がある成分について大まかにみていきます。
油性成分
 化粧品の基本的なものが油性成分で、クリーム・ローション・口紅・マスカラ・ファンデーションなどほとんどの化粧品に使用されています。
1.流動パラフィン・・・石油から作られ多量に使用されています。皮膚を刺激し、湿疹が出ることがあります。不純物の影響で発ガン性も疑われています。
乳化成分
 
油と水は混ざり合いませんが、これらをなじませて乳液やクリーム状にする役目が乳化成分です。
1.合成界面活性剤・・・合成洗剤などに主に使われているものと同じ仲間です。皮膚障害や粘膜の刺激・内蔵障害などの原因と指摘されています。
2.トリエタノールアミン・・・クレンジングクリーム・クレンジングローション・ファンデーション・アイライナー・アイシャドー・ヘアクリームなどに使われています。高濃度では、皮膚・粘膜・眼を刺激します。発ガン性の報告もあります。
色素・顔料・香料
1.タール色素・・・主に口紅に使われています。石油タールから分離して合成されます。皮膚障害・発ガン性が疑われています。
2.合成香料・・・皮膚を刺激したり、アレルギーの原因になります。
防腐剤・殺菌剤・酸化防止剤
1.パラベン・・・クリーム類・ローション類・口紅などあらゆる種類の化粧品に使われています。接触性皮膚炎の原因物質との疑いがあります。
2.ソルビン酸・・・皮膚や粘膜を刺激し、亜硝酸と反応して発ガン性になると指摘されています。
3.安息香酸・・・皮膚・粘膜・眼・鼻・咽頭を刺激する可能性が有ります。
4.BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)・・・変異原性・発ガン性が疑われていて、皮膚炎・脱毛の懸念もあります。
5.BHA(ジブチルヒドロキシアニソール)・・・動物実験により発ガン性が確認されています。皮下脂肪に蓄積されやすいものです。

 

「落ちない」口紅
 「落ちない」口紅・「落ちにくい」口紅というキャッチフレーズで売られているものを良く見かけます。これらの口紅は、落ちにくくするため高分子という名前の物質を表面にコーティングして薄いベールで覆いこんでしまうものがほとんどです。落ちにくいということは、口紅が長時間唇に付着することになり、それだけ危険性が増します。モニターテストの結果では、落ちにくいものほど唇が乾燥しやすく、「落ちない」口紅を使用した人の50%以上の人が、荒れやすいという理由で使用を止めています。もともと荒れやすい人は特に注意が必要です。

 

UV(日焼け止め)化粧品
 UVとは紫外線のことですが、紫外線の波長の長さによってUV−A,UV−B,UV−Cの3種類に分けられます。UV−Cは上空のオゾン層によって吸収されるので通常は地表に届きませんが(オゾン層が破壊され皮膚ガンや白内障になる人が増えてきている報告もあります)、UV−AとUV−Bについては地表まで到達しています。
 UV−Aは肌を黒くしシワなどの老化につながるもので、UV−Bは皮膚に紅斑を生じさせシミ・ソバカスの原因になります。
 紫外線をカットするとされているのがUV化粧品です。紫外線防止効果の程度を示すSPFという数値が書いてありますが、数値が大きいほど防止効果があるというものです。実際に紫外線を防ぐにはSPFが10程度といわれています。
 UV化粧品には紫外線散乱剤や紫外線吸収剤が入っています。このなかで紫外線吸収剤として入っているベンゾフェノン環境ホルモンの疑いがもたれているものなので注意しましょう。また、SPFが極端に高いものは、カブレの原因にもなります。

 

「無添加」化粧品てなあに?
 「指定成分」は102品目あるわけですが、その「指定成分」が入っていないということで「無添加」と言っているのがほとんどです。「指定成分」以外に化粧品の原料として厚生省が許可している物質は、約2700品目あります。もちろん指定成分以外の物質でもアレルギーや皮膚障害を起こす可能性のあるものや発ガン性が疑われているものがあるわけですから、「無添加」化粧品は必ずしも安全な化粧品とはいえないわけです。指定成分以外は何が使われているのかまったくわからないのが現状です。リーフレットなどに惑わされないようにしましょう。

図解で知ろう!本当のこと
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