口紅の危険性(99年1月記述)


規制が甘いタール色素

最近では漬物やキャンディにタール色素は不使用になったというのに、口紅に入っていれば、食べているのと同じ影響が出るでしょう。欧米ではタール色素について規制があるのに日本では厚生省令で許可されたほとんどの色素が、くちびるであろうが粘膜に近い目のまわりであろうが、どれだけ使っても許されています。
赤色OOO号、黄色OOO号、青色OOO号などのタール色素は、自然界にはまったく存在しない化合物です。食品添加物には12種しか許可されていないのに、化粧品には83種も許可されています。これは、美しいくちびるに憧れる女性のために、厚生省と化粧品メーカーが「安全性より美しさを」と特別に配慮?しているからです。

タール色素の多くは、発ガン性変異原性が報告されてきました。しかも口紅には、色素の分散をよくするための合成界面活性剤や染料の溶解剤がまぜられています。合成界面活性剤が含まれていると、より体に吸収されやすく、毒性は強くなると考えるべきでしょう。


赤色202号の被害が多い

埼玉県の主婦Bさんは50歳。小さいころからアトピー性皮膚炎と診断され、手荒れ、くちびるの炎症などが続いていました。2年ほど前からは、くちびるや両頬の皮膚炎が悪化し、なかなかよくなりません。くちびる全体が赤く、水泡や色素沈着があり、皮がポロポロむけて痛がゆい状態でした。いつも飲んでる健康飲料、ハミガキ剤、化粧品などのパッチテストを皮膚科で行った結果、口紅が原因であることがわかりました。Bさんは、慢性の湿疹が長年にわたって続いていたため、化粧かぶれだと思わずにいたそうです。さらに、口紅の成分のうちタール色素の赤色202号が原因であることを突き止めました。ところが、他のメーカーの口紅に使われた赤色202号や、赤色202号の精製品には陰性です。そこで、原因色素を洗浄分離するなどして、赤色202号に含まれている不純物、2つの副色素によるアレルギーだったことがはっきりしました。

かって、裁判にまでなった黒皮症の原因は、赤色219号・黄色204号の不純物によるものです。現在では、化粧品メーカーの自主規制によりこうした色素沈着型の被害は激減したものの、赤色202号が使われる口紅が増え、口唇炎の報告が相次いでいます。赤色202号は、56年に使用が許可された色素です。水、アルコール、油脂に溶けない性質があり、主として口紅、ファンデーション、アイシャドー、マニキュア、石けんに使われてきました。口紅の場合、約70%に使われ、1%程度の濃度で配合されています。お手持ちの口紅の箱をお確かめください。たぶん、あなたが使っている口紅にも入っているでしょう。この赤色202号の純度は、製品によっては60%程度と不純物が多いものもあり、そのまま精製されずに化粧品の原料になります。
化粧品業界は、原料の品質管理ではなく、「落ちにくい口紅」の宣伝にしのぎを削っていますが、かぶれの被害が増えるのではないかと心配です。


落ちにくい口紅に、注意!

化粧品売り場には、落ちにくい口紅がずいぶん増えました。でも、「落ちにくいなんて気持ちが悪い」と使わない人はともかく、「ありがたい、待ってました」と喜んで使っている人がいたら、ちょっとご用心ください。落ちにくい口紅を最初にヒットさせ、200万本以上売ったのは、カOボOです。これは、くちびるの表面を皮膜でパックしてしまう技術を開発したことによります。口紅を塗ると、分子量15万から20万の超高分子アルギン酸塩がくちびるの水分に作用し、表面に皮膜を形成するのです。一方、口紅に配合されている水溶性の色素に不溶性のレーキ化顔料が混入されているため、皮膜に移行した色が残ります。従来の口紅は、オイルベースにくるまれた色素が、ただくちびるにのっているだけ。これに対して、落ちにくい口紅は、皮膜の上にオイルベースにくるまれた色素がのっているので、色素がとれても着色した皮膜が残るわけです。しかし、たとえばOO製品にはジプチルヒドロキシトルエンタール色素が、OOO製品にはタール色素が含まれています。こうした発ガン性や変異原性が指摘されている多種類のタール色素や酸化防止剤、不純物でアレルギーを起こす赤色202号などがいつまでもくちびるにくっついて落ちなかったら、危険です。


口紅は通常、油性成分に色素、界面活性剤、酸化防止剤、香料を添加したもので、20種以上の成分が含まれています。
下記は製品に含まれる旧表示指定成分です。

ジプチルヒドロキシトルエン(酸化防止剤)、オキシベンゾン(紫外線吸収剤)、赤色201号(タール色素)、赤色202号(タール色素)、 赤色218号(タール色素)、香料。

赤色201号(タール色素)、赤色202号(タール色素)、赤色223号(タール色素)。

ジプチルヒドロキシトルエン(酸化防止剤)。


酸化防止剤や着色料については、突然変異性や発ガン性の報告があります。

酸化防止剤と着色料(タール色素)が使われる化粧品で
最も危険性の高いのは「口紅」です。

また、くちびるの乾燥や荒れ止めに使われるリップクリームにも、無色に見えても着色料が使われていたり、ジプチルヒドロキシトルエンなどの酸化防止剤を含むものが多いのです

毎日6回つけ直す女性の場合、1日の使用量は最大114mg、その60%が口に入るとすると約70mgです。口紅には発ガン性が報告されているタール色素が5%程度含まれているため、3.5mgの発ガン物質が口に入ることになります。

「あなたは生涯で何本の口紅を食べていますか?」

購入の際には酸化防止剤着色料の表示をしっかり
チェックして、これらが入っていないもの、
できれば
表示指定成分不使用製品がベターでしょう。

参考書籍「化粧品の正しい選び方」コモンズ


 

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