病気や老化の原因は活性酸素にあった!


「活性酸素」という言葉をご存知でしょうか?
最近はテレビの医学番組や新聞の健康欄でも取り上げられることが多くなったので、聞いたことがあるかと思います。「フリーラジカル」という言葉で表現されることもあります。ただ、多くは専門的な表現なので、一般には理解できないまま見過ごされていることも多いかと思います。
しかし、
「活性酸素」は、いまや最先端の医学研究で欠かせないものになりつつ
あります。

それは死因のトップにあげられる
ガン・脳卒中・心臓病をはじめ、多くの病気の発生に、活性酸素がかかわっていることが、分かってきたからです。
活性酸素がかかわっていない病気はないといっていいほど、そして、老化も活性酸素から起こることだと考えられ始めているのです。
活性酸素は簡単にいうと、酸素が変化して酸化力が強くなったものです。
その酸化力によって体の細胞を傷つけ、病気を引き起こすのです。
活性酸素が注目され始めたのは、ここ10年くらいのことですが、存在自体はずっと以前から知られていました。それが、研究方法の発達などから、細胞の分子・原子レベルの研究ができるようになり、その実態が詳しく解明されるようになったのです。
活性酸素は諸病の根源といえるほど恐ろしいものです。
しかし、逆にいえば、活性酸素の実態を知り、これを除くことができれば、病気は予防できるし、治せるのです。


・酸素には毒性がある

活性酸素は酸素が変化したものだといいました。そこで酸素について考えて見ましょう。私たちは、酸素がなくては生きていくことができません。ほとんどの人は酸素は人間の体にとっていいもの、害はないものと思い込んでいるようです。
しかし、酸素というのは、生命活動にとって必要なものであるにもかかわらず、実は同時に体に害をおよぼすものでもあるのです。
そのことに最も早く気づいたのは、220年前のイギリスの科学者プリーストリです。彼は酸素について実験していたのですが、あるとき酸素だけの中でロウソクを燃やすと、ふつうの空気の中より数倍はやく燃え尽きてしまうことに気づきました。
その現象から彼は、「人間も同じように、酸素だけの空気の中では体力がはやく消耗してしまい、生命もはやく燃え尽きてしまうかもしれない」と書き記して、酸素の危険性を示唆したのです。
この示唆は発展することはなく、一部の人以外には忘れられていたようです。
そのため時代がくだって、高濃度の酸素が病人や未熟児の治療に使われるようになりました。しかし、ここで酸素による被害が出てきたのです。
未熟児は、濃度の高い酸素を送り込んだ保育器の中で育てられます。こうした赤ん坊の中に、未熟児網膜症という疾患で目が見えなくなってしまう症状が発生したのです。これは初めは赤ん坊の体の発達が未熟なので起きることだとされていましたが、のちに保育器に原因があるということが分かってきました。保育器の中の高濃度の酸素が原因です。そのほか高濃度の酸素治療を受けた病人の中にも、酸素が原因で病気が悪化した人がいると考えられます。
高濃度の酸素が強い毒性を持つことは、ネズミやショウジョウバエを使った実験でも証明されました。濃い酸素の中でこれらの動物を飼育すると、寿命が非常に短くなってしまうのです。これらのことから、酸素には毒性があることが知られるようになったわけです。それは私たちの体の中の酸素の濃度を調べてみてもわかります。大気中の酸素の濃度は約21%ですが、体の細胞の中に含まれる酸素の濃度は、その150分の1にしかすぎません。
体は酸素の毒性を知っているので必死になって濃度を薄めようとしているのです。ですから、酸素を体にたくさん取り入れることは、命を縮めることにもなりかねません。
ジョギングやエアロビクスも、酸素の面からみると、決して体にいいことではないということが知られて、アメリカなどでは、すでにやめる人も出てきているほどです。

・活性酸素は酸化力が異常に強くなった酸素

酸素はなぜこのように毒性を発揮するのでしょうか。
実は酸素は、生命活動にとって必要な働きをする反面、さまざまな物質と結合して、相手を変化させてしまう性質を持っているのです。酸素は非常に活発な元素なので、あらゆるきっかけで不安定な状況になります。そして、簡単に他のものに付着して反応を起こすのです。この反応を酸化といいます。
酸化という言葉なら聞いたことがおありでしょう。皮をむいたリンゴを放置しておくと赤茶けてくるので「リンゴを酸化させないように塩水につけなくちゃ」などということはしばしばあります。また、鉄を放置しておくと赤くさびてくるのは、酸化のせいだということもよく知られています。酸化は私たちの身の回りでも、ひんぱんに目にする現象だといえます。
酸化が起きるとその物質は変化して使い物にならなくなります。
そして、これは体の外だけで起きることではありません。
酸素は呼吸によって、私たちの体の中にたくさん送り込まれており、酸素はあらゆるきっかけですぐ変化するため、酸化は私たちの体の中でも起こっているのです。酸化が体の中で起きたとき、体の細胞は障害を受けてしまいます。
これが病気や老化につながっていくのです。
ただし、大気中にある酸素の酸化力はおだやかで緩慢なもので、毒性といわれるほど凶暴な酸化力は持っていません。
しかし、
これが何らかのきっかけで変化すると、強い酸化力を発揮してくるのです。
この酸化力が強い、毒性のある酸素が、「活性酸素」なのです。

大気中にあるときには比較的安定している酸素も、いったん体内に入るとさまざま
な障害にあい、活性酸素に変わります。そして、体の細胞を酸化させ、病気を起こ
すことになるのです。
おおざっぱ言い方ですが、
酸化力の異常に強くなった酸素が活性酸素ということが
できます。

「羅漢果の凄い薬効」発行 主婦と生活社
岡山大学医学部教授   森 昭胤
日中薬膳交流協会会長 千頭一生 
共著 より掲載

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