身の回りは活性酸素を生み出す要因だらけ


実は活性酸素は、私たちが生きていく上で、どうしても発生してしまうものなのです。

私たちが体に酸素を取り込み、消費する過程で活性酸素は自動的につくり出されます。

激しい運動をしているときはもちろんのこと、仕事や家事などをしてふつうに生活し

ているときも、くつろいでいるときや眠っているときも発生するのです。

私たちは生きている限り活性酸素から逃れることはできません。

太古、地球の生物が酸素を体に取り込んで生きるようになったときからの、宿命と

いえるかもしれません。

もちろん活性酸素が体の中で増える一方だと、人間はたちまち死んでしまいます。

そのため、
私たちの体は活性酸素を取り除く手段を持っています。

ただ、
この手段では手に負えない量の活性酸素が発生したとき、病気や老化が

起きるのです。


大量発生のきっかけにはさまざまなものがあります。

体が傷を受けたり、ウイルスが侵入したときもそうですし、太陽光線も原因に

なります。

これらは昔から、私たちの体に活性酸素を発生させる原因になってきました。

その上、
現在では、更に活性酸素を発生させる原因が増えています。

それが
食品添加物や洗剤、化粧品などに含まれる化学物質であり、大気中の有害

物質や放射線などです。
これらの原因は、昔はなかったものです。

豊富な栄養をとっているにもかかわらず、現代人に病気が多いのは、このことが

原因ではないかといわれています。


ウイルスや細菌は、病気を引き起こす元凶ですが、これも活性酸素発生の原因に

なります。

これらの外敵が入ってくると、白血球が出動してきて外敵を殺そうとします。

このときの武器が活性酸素なのです。白血球が敵の数に合わせて、びったり適量の

活性酸素しか出さなければいいのですが、白血球は外敵を確実にやっつけるために

必要量を上回る活性酸素をつくってしまいます。

その余分な活性酸素が、まわりの細胞まで傷つけてしまうのです。


体にとっての異物は、ウイルスや細菌ばかりではありません。

実は、
病気を治すために飲む薬や、空気中に存在する有害物質、そして食品

添加物や洗剤、化粧品などに含まれる化学物質も、体にとっては異物なのです。

これらのものは、つい最近まで、人類の体内に入ることはなかった物質なので、

体は異物と理解してしまうのです。


そして、異物を解毒しようと、ある酵素を出します。この酵素が働く過程でも、

活性酸素が発生してしまうのです。

このように特に、現代の科学や文化の発達が生んだ数々の人工的な要因が、

私たちを更にむしばんでいることがうかがえます。

薬や食品添加物の氾濫、農薬の普及、排ガスによる大気の汚染、水の汚染、原子力

の利用による放射線被爆、電気製品による電磁波・・・・・生活環境の変化、

破壊はすなわち体内での活性酸素の大量発生につながっているのです。


昔から受けてきた紫外線にしても、オゾン層の破壊により、増加し続けています。

こうした要因は、ほんの数十年の間に急速に増えてきたものです。

私たちの体の働きは、太古から少しずつつくられてきたものですから、この数十

年の変化にはついていくことができません。

体の中には活性酸素を取り除く働きもありますが、人間の遺伝子は、活性酸素の

発生源が今よりずっと少ない時代につくられていますから、新しい要因が生み

出す過剰な活性酸素まで取り除くことはできないはずです。

活性酸素をつくり出す原因がこれだけ増え、体の中には対抗する手段が充分には

ないとすると、私たちの体の中には、過剰な活性酸素が存在しているということ

ができます。

これが現代人の体をむしばみ、病気をつくり出しているのです。

食物の豊富な国に住み、快適な暮らしをしているにもかかわらず、現代社会に

暮らす日本人は病気から逃れることができません。

ガンや糖尿病、心臓病などの成人病の発生が増えているのも、昔はあまりみられ

なかった喘息や花粉症、アトピーなどのアレルギーが増えているのも、環境の

悪化による活性酸素の増加が原因と考えられます。


日本は長寿大国となりましたが、長寿を謳歌している人の多くは、活性酸素を

発生させる要因が少ない時代に育っていることを忘れてはいけません。

また、昔の日本人の食事は活性酸素を取り除くために理想的な食事ともいわれ

ています。活性酸素の発生要因に囲まれ、欧米風に変化した食事をとって育って

いる若い人や子供が、長生きできる保証はどこにもないのです。

「羅漢果の凄い薬効」発行 主婦と生活社
岡山大学医学部教授   森 昭胤
日中薬膳交流協会会長 千頭一生 
共著 より掲載

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