輸入動物の実態


こんなにたくさんの動物が日本にやってくる

日本は動物の輸入大国だ。どれほど多くの生きた動物が輸入されているか、 また毛皮などが輸入されているかを、統計で調べて見た。 動物の輸入量を知るには、通産省の「税関貿易統計」と農林水産省の 「動物検疫年報」でおよその数字がわかる。ただし、後者は狂犬病予防法と 家畜伝染病予防法と狂犬病予防法の対象となる犬と家畜(=指定動物) のみの統計で、それ以外の動物(=指定外の動物)は、獣類、鳥類と 一括されているので、個別の種の輸入量は不明となっている。  

犬は年間約20000匹  
狂犬病予防法に従って、日本に輸入されているすべての犬は動物検疫を
受ける。検疫統計で見ると、犬の検疫数は1996年度で約20000匹、 1997年度で約19000匹、1998年度で約14000匹となっている。 貿易統計によると、犬は、今年の6月1ヶ月間に644匹、金額にして 5300万円相当が輸入されている。1匹単価は8万円程。約85%が アメリカから輸入。1〜6月の累計では、3429匹、約3億円。 毎年約7000匹が貿易貨物として輸入されている。 一方、ペット業界の情報によると、この数年、台湾から犬の輸入が 激増している。この2〜3年は5000頭を超えている。これは日本の ペットブームに子犬の需要が追いつかず、台湾に大繁殖施設を設けて 日本に大量輸入しているせいらしい。しかもそれらが日本産の血統書付きで ペットショップで売られているものとみられる(血統書を付けると高く売れるため)。 しかし台湾での施設が劣悪なせいで、病気のまま持ち込まれるケースも 増えているらしい。高いお金で買ったペットがすぐに病気になって哀弱したり 死んでしまうというのは、このようなところにも原因がある。  

サルは年間約5000匹  
動物検疫は、家畜の伝染病や人畜共通伝染病を水際でチェックするもので、
犬と家畜は検疫が義務付けられているが、サルには行われていない (実験用のサル類については一部は自主検疫が行われている)。そのため、 以前から、サルが保有するBウイルスやエボラ出血熱など、ヒトに致死的な 病原菌の伝染の恐れが指摘されていた。実際、6月には、オラウータンなどを 密輸して摘発された「梅田ワンワンランド」で売られたカニクイザルから、 Bウイルスが検出されている。 ようやく法律によって来年の1月から、サル(それに猫、アライグマ、キツネ、 スカンク)の検疫が義務付けられるようになった。 貿易統計によると、サル類は今年の6月に574匹(6000万円)が 輸入されている。単価は1匹約10万円。中国、南米ガイアナ、フィリピン、 ベトナム。その他、カメルーンと南アフリカからも来る。1〜6月累計では 2344匹(2億5000万円相当)である。サルの輸入は、1990年代から、 毎年約4〜5000匹(5億円前後)で推移している。なおこの数字には、 機内手荷物として持ち込まれたものは含まない。 1990年に行われた成田、大阪空港のサル類の輸入目的別の調査結果では、 実験用が70%以上、ペット用が25%なので、3000〜3500匹が 実験用として輸入されてくる。 世界一の野生動物消費大国アメリカでも、動物輸入業者の登録制と 検疫施設の査察があり、ペットとしてのサルの輸入は禁止されている。しかし、 世界第二の消費大国日本では、いかなる規制もない。


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