魚と海と合成洗剤


東京湾の合成洗剤汚染

97年「洗剤環境科学研究会」という学会で東京農工大の高田秀重先生が、東京湾と東京近辺の川の汚染状況を発表しました。72年当時はMBAS濃度(メチレンブルー活性物質、合成洗剤の中に含まれている界面活性剤の濃度)が0.1ppm程度だったのが、85年以降は1〜3ppm近く濃度が上がってきています。東京湾の海の底を掘って、その中に日常家庭で使っている合成洗剤の中の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)がどれくらい入っているかを確かめました。すると、200ナノグラム/グラムという高い数字が東京湾の海の底に残っていたのです。合成洗剤は何となく悪いと分かっていますが、しかし日本では90%の人が合成洗剤を使っています。最近のテレビや新聞によりますと、いわゆる環境ホルモンがすっかり有名になりましたが、その原因は何でしょうというアンケートを一般消費者からとった結果、1番目がダイオキシン、2番目が農薬、3番目が合成洗剤でした。それほど合成洗剤は環境ホルモンになるらしいし、何か問題もあるらしいということは認識されているわけですが、現実にはいつの間にか使ってしまうのです。

魚と合成洗剤

川や海に合成洗剤が流れるとどうなるかといいますと、魚というものは本来、危険なものからは逃げるという本能があります。合成洗剤が流れれば本当に薄い、0.01ppmぐらいの濃度であってもそこを避ける本質的な力があります。ところが、川に大量に合成洗剤が流れると、逃げようにも逃げられなくなる。その結果、魚はそれを食べてしまい、さらに水中にも残ってしまう。しかも合成界面活性剤で口の中がマヒして、魚が味を感じる力がなくなってしまう。すると、例えば水銀があっても食べないはずなのに、毒と毒でないものを見分ける力がなくなってしまう。こういうことが背景にあり、水俣病が発生したといわれています。これは人間の場合でも、ハミガキしただけで同じ結果になります。歯磨き粉の中に合成界面活性剤が3%ほど含まれています。それで歯を2〜3分磨くと、舌の表面に味を感じる「味らい」に合成界面活性剤が結合して残ってしまう。その結果、歯磨きした後、お茶を飲んでも何か物を食べても味がわからなくなってしまうというわけです。しばらく経てば回復することはするのですが、それが積み重なると微妙な味は感じられなくなって、辛い物も辛くなくなる。ですから激辛を求めるのです。小さい赤ちゃんは本当に味の薄い物でも感じるのですが、成長するにつれて歯磨きなどのせいで味に音痴になり、非常に味の濃い物を求めるようになるといわれています。

カルシウム石けんと合成化学物質

「環境ホルモン」で明白になってきたように、合成洗剤をはじめ、いわゆる合成化学物質というものの問題点が明らかになりつつあります。簡単に作れて洗浄力も合成洗剤よりいい。手荒れも起こさない。そういう石けんの良さを改めてみ直していく時期に来ているのではないでしょうか。しかし、石けんは石けんカスができるからどうのこうのという批判があります。石けんカスとは水の中のカルシウムと石けんが結びついたものです実は石けんカスができるから石けんはいいと、逆の理論が成り立つのです。洗濯している間は石けんで、川に流したらカルシウム石けんになって、これは魚のエサになってしまう。太陽油脂では、わざわざこの石けんカス、つまりカルシウム石けんを工場で作っています。これは何のためかというと、鶏や牛の配合飼料に入れると、牛乳にカルシウム分が多くなったり卵が割れにくくなるからです。魚の養殖にも使われているようで、養殖場では高級なタイやヒラメにこれを使うと元気に育つといいます。合成洗剤にまみれて育った方は、奇形が生まれたり、だんだんオスがメス化したりするという使用後の石けんは、流れてすぐカルシウム石けんに変わり、微生物やミジンコや魚のエサになって全部なくなってしまうというわけです。東京湾には何ppmという合成界面活性剤がいまだに残っているわけですが、石けんはどこの川、どこの海を分析しても少しも出てきません。1ピコグラムも出てこない。それは石けんがすぐカルシウム石けんになってすべて食べられてしまうからです。下水を廃水処理した結果も、全部分解されて石けんという形では残りません。石けんは作り方がごく簡単ですから、自然の循環でまたすぐ戻ってしまうのです合成界面活性剤のように非常に高温高圧の中でしか作れないものは、魚や自然界では分解できずにどこかに留まっていて、それがやがては人間に返ってくる。その結果、30年前と比べて男性の精子は今や半分に減っている。もう30年経つとまた半分に減って、50年後には子孫は生まれなくなると。100年後には人類は絶滅するという説もあるくらいです。今こそ合成洗剤をやめて、昔からある自然の石けんを使いましょう。

資料提供  太陽油脂


   次のページへ  

   安全な石けん製品へ  

トップページへ