その他の注意を要する保存料


殺菌料

心配されている添加物は過酸化水素です。
殺菌料は微生物を殺したり、発育を止めたりするので生物体に対して
作用が強いと考えられます。殺菌料のうちでも問題の大きかったAF2は
発ガン性を理由に昭和四十九年八月に禁止になりました。また、長い間ゆで
めん、水産ねり製品などに使われていた過酸化水素が、昭和五十五年一月
十一日広島大学原爆放射能医学部研究所の実験で発ガン性が認められた
として、厚生省は関連食品加工業者にその使用を中止するよう要望しました。
一方、食品衛生調査会の意見を受けて、過酸化水素は食品添加物として
使用を認めるが「最終食品の完成前に、分解又は除去しなければならない」
との新基準の適用を昭和五十五年十月一日から実施しています。

甘味料

ここで問題になっている添加物はサッカリン(チューインガムのみ)、
サッカリンナトリウム、アスパルテームです。
甘味料として使われていたズルチンが昭和44年に、サイクラミン酸塩(チクロ)が
昭和45年に発ガン物質として食品添加物の指定を取り消されました。また、
サッカリンナトリウムは昭和48年11月にアメリカでの発ガン性研究から使用が
禁止されました。しかし、その後、国立衛生研究所の研究では発ガン性が
認められないということで昭和50年7月に使用基準が緩和されました。
サッカリンの安全性については、まだ問題点がいろいろあり(昭和52年カナダで
5%のサッカリンを添加した飼料でラットを2年間飼育したところ、サッカリンを
入れないものに対し、8.5倍の高率でぼうこう腫瘍が発生したなど)、やはり
サッカリンナトリウム使用の食品は安心とはいえないようです。

次に新しく許可になったアミノ酸系の人工甘味料アスパルテームについて
説明しておきましょう。この甘味料はフェニルアラ二ンとアスパラギン酸という
二種類のアミノ酸からなる物質で甘味が砂糖の200倍となっています、一般の
タンパク質同様に体内で自然代謝されるので安全であり、また多世代試験、
発ガン性試験など8項目にわたる安全試験が行なわれ、米国FDA(食品医薬品局)
での審査の結果でも安全が確認されているという説がある一方、アスパルテーム
の成分であるフェニルアラニンの血中濃度が高くなり、数時間たっても元にもどら
ないことで分解性がきわめて悪く”アミノ酸アンバランス”が心配され、特定アミノ酸
が多くなるとほかのアミノ酸のはたらきに異常が起こる点が指摘されています。
また、母親が多量のアスパルテームをとった場合フェニルケトン尿症のマイナス
因子を持った母親(フェニルアラニンを分解する能力の低い人)では、胎児の血中
に高濃度でフェニルアラニンが残る可能性が高く、妊娠中や授乳期の母親は要注
意だとの問題点を指摘する声もあります。
今のところいろいろの問題点がもっとはっきりするまで使用をひかえることが
賢明ではないでしょうか。

結着剤

ここで問題になるのが重合リン酸塩(ポリリン酸ナトリウムなど)という添加物です。
「品質改良剤」ともいわれ、ハム、ソーセージ、かまぼこなどをシコシコと歯ごたえを
よくするものです。この重合リン酸塩を品質保持や品質改良として使用している
食品は驚くほど多いのです。重合リン塩酸は使用の対象食品や使用量の制限が
なく、また表示義務もないところから、その使用量は非常に多いものと思われます。
人体が摂取するリンの量が摂取するカルシウムの2倍を超えると骨からカルシウム
が抜けるといわれ、最近の子どもの骨折はそのためではないかといわれています。
また鉄分の吸収が悪くなるので、リン過剰摂取にならないよう、加工食品にたよる
食生活を反省することが大切です。
なお、最近、サツマイモやサトイモ、モヤシ、きざみゴボウ、ショウガなどの野菜類
にも色をきれいにして変色を防止するお化粧が問題になりましたが、これもこの
重合リン酸塩やリン酸が使用されたのです。

品質保持剤

ここで心配される添加物はプロピレングリコール(PG)です。
PGは生中華めんや生うどんなどに湿りつけを持たせるなど品質保持として多用
されています。大量に摂取すれば染色体や細胞に突然変異を起こします。
世界保健機関(WHO)は、1日の摂取許容量(ADI)を体重1キログラム当たり
25ミリグラムと定めています。
最近東京都消費者センターが実施したPGが多量に添加されている可能性のある
めん類、ギョウザの皮などのPG検出テストの結果を見ますと、最高4%近いPGを
使用していた生中華めんもありました。
このようにPGが多く使用されているめん類とか、イカのくん製などの組合わせを
1日で食べたとすると、ADIを超えて摂取することにもなります。
厚生省は食品衛生調査会からの答申し受けて昭和57年6月、PGについての
使用基準を定めました。内容は製品段階で、生めん及びイカくん製品にあっては
その2%以下、ギョウザ、シュウマイの皮にあってはその1.2%以下、その他の
食品にあってはその0.6%以下の使用量でなければならないとなっています。

小麦粉改良剤

これで問題になっている添加物は臭素酸カリウムです。
パンをふっくらときめ細かく焼き上げるために、大量生産、大量販売の食パンに、
発酵促進を目的としてイーストフードが使われています。このフードの中に
臭素酸カリウムが入っています。51年の厚生省ガン研究班の研究で、
大量摂取した場合に遺伝子に突然変異などを起こす作用のあることがわかり、
ラットやマウスによる動物実験が続けられていました。この実験は、
国立衛生試験場腫瘍病理研究室が行っていましたが、結果は、無投与・低投与・
高投与の三群をオス・メスそれぞれ約50匹ずつ約二年間飼育し、高投与群は
オス90.4%、メス69.2%に腎ガンが発生、低投与群もオス58.5%、
メスの50%に腎ガンが認められました。これを受けて厚生省は、臭素酸カリウム
はパン以外には使用せず、パンに使う場合も30PPm以下の使用に下げる
ことにしました。

「新・食品添加物とつきあう法」 健康双書より抜粋


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