浴用水道水・塩素の危険性

水道水の塩素刺激

現代ではほとんどの人が、生まれたときから水道水を沸かして入浴しており、そこには皮ふに刺激性のある「塩素」が投入されています。
塩素はナトリウムと化合して塩化ナトリウム(食塩)になっていたり、マグネシウムと化合して塩化マグネシウム(にがり)になっていたり、プラスチックに加工されて塩化ビニールになっていたり、ごくありふれた物質で、そういう形で存在している分にはそれほど危険でもなく、海の中には塩がたくさんあって塩素だらけです。しかし塩素は、人間の操作によって酸素1個と結合させられて、次亜塩素酸という形になると、活性がきわめて強くなってタンパク質やビタミンCなどと強く反応し、相手を破壊するようになります。これは、酸素が加ったことによる「活性酸素」の働きの一種で、この働きによって単細胞生物(細菌)などはたちまち死んでしまいますから、水道水の消毒にこれを用いますし、シャツの黄ばみ(タンパク質)を溶かして漂白したりします。塩素ガスは、目や呼吸器に入ってそこの水分と反応して次亜塩素酸となり、細胞を傷つけますから毒ガス兵器として使われ、兵士を失明させ、窒息させ、皮ふをびらんさせます。カルキ(次亜塩素酸)の入ったプールに入ると、皮ふがカサカサになって痒くなり、目が真っ赤になります。塩素が皮ふや目の細胞を損傷させるからです。水道水に金魚を入れると死ぬのは、塩素がエラの細胞を破壊するからです。野菜を水道水で洗うと、ビタミンCが破壊されます。
芝生や庭木に水道水をかけ続けると、塩素枯れを起こしますから、ゴルフ場などでは芝生に水道水をそのまま撒くことはありません。

髪への影響
右の写真は、上が健康な髪の毛の表面で、
下は2ppmの塩素水に1日さらした髪の毛の
表面です。キューティクルがひどく損傷してい
ます。塩素がタンパク質を壊したのです。

肌への影響
肌は28日周期で生まれ変りますが、毎日
塩素のアタックを受けていると再生が間に
合わず肌はどんどん荒れていってしまいます。

また、筆者は無毛ラットの皮ふに塩素入りの
水を刷毛で塗る実験をしてみました。ちょっと
濃すぎたかも知れませんが、1%(1万PPM)
の塩素水を塗ったところ、見る間に赤く腫れ
上がりました。それが右の写真の、上のラッ
トです。下は天然の水を塗ったラットで、変化
は起きていません。この実験によって、塩素
が実際に皮ふに炎症を起こす力を持っている
ことが確認されました。

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健康な毛髪の表面
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塩素で損傷された
毛髪の表面
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無毛ラットの実験

 

浴用の水道水に含まれる塩素の危険性については、欧米では早くから警告されています。

シャワーから、塩素を除去するフィルターを購入することを考えなさい。湯に含まれる化学物質の20〜90%は、入浴中やシャワー中に皮ふを通して、また湯気を吸い込むことで体内に吸収されています。
(ドリス・J・ラップ NY州立大学小児科 「Is this your child?」1991)

 

塩素ガスは熱い湯に溶けにくく、空気中に拡散される。シャワーや入浴中に塩素の臭いを感じるのは、塩素がガスとなって浴室に充満するからである。希釈された塩素溶液を身体全体に浴びると、塩素が皮脂と反応して塩素化合物を作り、それが身体に吸収される。塩素の酸化力のために、連続的に塩素処理水につかることは、老化を促進する。太陽に長くさらされることと全く違わない。
(F.アッシュトン 豪州食品リサーチ研究主任 「水道水の塩素処理100年/知られざるシャワーの害」 1989)

シャワーの塩素は、湯の高温のために一度空気中に拡散されて、閉めきった浴室内で濃縮されます。お湯は出てゆく塩素は残るというわけで、シャワーを使うほど室内の塩素濃度は上昇します。そしてその塩素は、冷えてきたところで身体に付着し、皮ふと反応します。ですからシャワーの塩素は、浴槽の塩素よりもむしろ危険なのです。

世界最大の塩素を投入した日本

水道に塩素が使われた最初は、19世紀末、イギリスのミッドストーンにおいてであり、それから水道水の塩素消毒が欧米で普及しました。ですから、先述した「ベニエ痒疹」も水道水の塩素で説明できる可能性があります。
日本では戦前はあまり塩素を入れていませんでした。戦後、アメリカ軍が日本を戦地と同様の野蛮な土地と考えて、占領軍の安全のために「野戦基準」の塩素投入を強制したのです。
それは浄水場でPPMという濃度で、当時一般的だった濃度の10倍でした。しかしその後、図で分かるように、河川の汚染が進むにつれて、塩素の投入量はどんどん増えてきました。これは日本の水道法が、「塩素は家庭の蛇口で0.1 PPM以上残っていること」と、下限を定めるだけで上限を設けていないためです。これは今となっては不用意な条文ですが、法の精神は、0.1 PPM以下では細菌繁殖のリスクが残りますよ、だから予算をケチらずに、蛇口で0.1PPMを確保できるようにしなさい、ということであって、0.1 PPM以上ならどれだけ投入してもよいということでは、もちろんありません。しかるに当局は、河川や湖沼の汚染が進むにつれて、「条文に従って」塩素をどんどん投入してきたのです。この塩素投入量のデータは、東京都がうっかり公表してしまったもののようで、その後、当局は数値を出さなくなり、公的なデータは見あたりません。塩素試薬を持って駅やビルや民家の水道水を調べるという、民間のゲリラ的な蛇口調査
(学習研究社「今、水が危ない」1992)では、蛇口塩素濃度は、東京の1.5 PPMを筆頭に、全国軒並みに1 PPM以上となっていました。これは規定の10倍から20倍で、プールの基準値(0.4 PPM以上)よりも濃く、さかのぼって浄水場では相当の塩素が投入されていることを示しています。

長く東京都の水道局に勤めた小島貞男さんの話では、世界で水道水の処理のためにもっとも大量の塩素を投入したのは、東京の玉川浄水場だそうである。小島さんが玉川にいた頃、100 PPM の塩素を投入したと話している。東京都の資料では、最高の時は塩素を150 PPM という記録があるから、間違いなく世界一であろう。
(中西準子 東大環境安全研究センター 「水の環境戦略」岩波新書 1994)


欧米から日本に来る筆者の友人達は、一様に、レストランなどで出される水はカルキ臭くて飲めないと言います。欧米人には、レストランで水道水が出されること自体が奇異なのですが、これは、日本の水道水はおいしい、という前提で行われてきた日本の習慣でした。しかし、それも今は昔です。また、シャワー浄水器のメーカーの話では、YMCAからたくさん注文が来るそうです。外国からの留学生が日本でシャワーを浴びると、たちまち身体じゅう痒くなるからだそうです。
塩素濃度に上限なし、とは日本だけのことです。戦後アメリカ軍が塩素投入を強制したとはいえ、そのアメリカにも塩素投入量には上限があり、州によって差はありますが、残留塩素濃度は0.1 PPM以上、0.5 PPM以下くらいが標準となっています。先述した、本土復帰後の沖縄でのアトピー性皮ふ炎の増加という現象は、まさに沖縄が「本土化」してきた結果であり、その背景には、沖縄に日本の法令が適用され、塩素投入量のタガがはずされたことがあるでしょう。沖縄においても、施政権返還後の20年間の経済成長にともない、水洗トイレ、家風呂、クーラー、乗用車などが普及し、水道水の需要が急増しました。もともと離島に降る雨の量は十分ではありませんし、天然、人造ともに貯水能力は限られています。そのような土地で水道水の需要が急増すれば、それまで利用していなかった低質の水源も利用せざるを得ず、その一方で塩素投入量の上限がはずされたのですから、何が起こったかは想像に難くありません。
わが国における「塩素の大量投入」にはたかだか50年の歴史しかなく、この間、塩素を大量に含んだ水での入浴が、万人にとって安全であると確認されたことは一度もありません。また、塩素濃度が高くなっただけでなく、入浴回数が増え、シャワーの利用が増え、
強力な合成洗剤で皮脂をこそぎ落とす、という生活様式の変化が重なり、日本人の皮ふは、ひと昔前に比べて20倍も30倍も多く塩素にさらされるようになってきています。

生まれたばかりの赤ん坊は、目もよく見えませんし、呼吸もしたことはありません。これらのことを、赤ん坊は少しずつ学習します。皮ふ細胞も同じように、自分の果たすべき役割を学習してゆきます。ところが、生まれて初めて触れる水である「日本の産湯」には、あろうことか、塩素という毒物が世界最大量まで投入されています。これは、人類の歴史において、赤ん坊の学習プログラムには想定されていない事態ですから、赤ん坊の皮ふに混乱が起きるのはむしろ当然で、その混乱はやがて、炎症とか痒みという形で出現してくるのです。生後どのくらいのうちに、どのくらいの割合の子が炎症を起こすかは、塩素濃度や塩素に触れる頻度に関係しています。塩素があるからといって、赤ん坊の全員が皮ふ炎を起こすわけではありません。乳児の3割がアトピー性皮ふ炎になっているという厚生省の調査結果は、浴用水に1ppmほどの塩素が残留していたら何が起こるか、という社会的実験の結果であるようです。

アトピー性皮膚炎の外的要因として「合成界面活性剤」と「浴用水の塩素」が大きな要因として考えられます。

資料提供:吉岡事務所

 

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