もっと知ろう!石けんのこと
「石けんと合成洗剤」長谷川 治
著
発行所 合同出版株式会社 より抜粋
ココヤシは熱帯地方の低地(とくに海岸地帯)を好む木状の単子葉植物
で、高さ20〜30メートルにもなります。ココヤシはフィリピンやインドネシ
ア、アフリカなどで栽培されていますが、最大の栽培地はフィリピンです。
フィリピンの輸出総額の5%がヤシ油といわれています。
ココヤシの若い果実の中には乳様液(ココナツミルク)が入っていて、これ
は飲料にもなります。やや時が経った果実は乳様液がゼリー状になり、
これを乾燥させればコプラになります。このコプラからヤシ油が採れます。
油をしぼったあとのコプラのカスは、肥料や飼料になります。
ヤシ油から作られた石けんは、非常に泡立ちがよい性質を持っています。
ヤシ油は石けんの原料として単独でも、牛脂やパーム油(アブラヤシの
油)と併用しても使われています。
ヤシにはココヤシ以外にアブラヤシ、ニッパヤシ、サトウヤシ、ナツメヤシ、
ダイオウヤシ、シュロをはじめ、2000種にものぼる種類があります。
ヤシは熱帯地方ではもっとも重要な植物のひとつで、幹は建築材、葉は
屋根葺き用、また編んで敷物などの加工品になります。果実の外皮でブラ
シやなわを作ったり、果実はコップや木炭に加工されるなど、万能の資源
植物です。
最近日本では、アブラヤシの中果皮からしぼったパーム油が食用油や石
けんの原料に使われるようになりました。アブラヤシはマレーシアが最大
の栽培地で、パーム油に加工されて世界中に輸出されています。
台所用合成洗剤の原料の一部としてヤシ油を使った製品が、「植物100
%」と宣伝されています。あたかも自然の洗剤のような印象を消費者に与
えると、社会的批判を浴びました。この洗剤には、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル硫酸ナトリウムという界面活性剤が配合されています