もっと知ろう!石けんのこと
「石けんと合成洗剤」長谷川 治
著
発行所 合同出版株式会社 より抜粋
合成洗剤が販売されるまでは、石けんや髪洗い粉(粉石けん)で洗髪
していましたが、合成シャンプーが1960年代に発売されると、手軽さ
から急速に使われ始め、ほとんどの日本人が合成シャンプーを使うよ
うになってしまいました。
最近のシャンプーはポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウ
ムを主原料に、何種類かの界面活性剤、着色料、酸化防止剤、防腐
剤、香料などが添加されたものが主流になっています。
ところが洗髪が週2〜3回から毎日、あるいは朝シャンまでと、回数が
増えるにしたがって、頭皮と毛根が痛み、毛髪の太さが細くなり、、抜
け毛、枝毛、脱毛で悩む人が多くなっています。
実際にテストしてみると、合成シャンプーで洗髪した後、一分間(温水
シャワーで3〜4リットル程度)すすいだ後の、髪と頭皮への残留量は
20%以上にもなるのです(シャンプーの使用量から、すすぎ水の中の
界面活性剤の量を差し引いたもの)。
なぜこのようなことが起きるかというと、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル硫酸ナトリウムは、タンパク質と結合するタンパク変性作用が
強力で、髪と頭皮にしっかり結合してしまうからです。多少の水ですす
いだぐらいでは洗剤成分が残留してしまうのです。これが髪に悪影響
を与えないわけがありません。朝シャンブーム後に育毛剤、カツラ業
界の売上げは、5年間で5倍に増えています。
これにひきかえ、石けんはタンパク質と結合する力がなく、頭皮や髪
に残留することがありません。そのため、合成シャンプーから石けん
シャンプーに切り替えたら、毛が生えだしてきたという投書が、ときど
き新聞に載ったりします。これは、合成シャンプーをやめたため、マイ
ナス要因がなくなって頭皮、毛根が元気になりだしたためと考えられ
ます。