もっと知ろう!石けんのこと
「石けんと合成洗剤」長谷川 治
著
発行所 合同出版株式会社 より抜粋
石けんは、発見された5000年前から現在まで、製造方法は基本的に
同じです。
動物脂や植物油にアルカリを加え、加熱すると石けんができあがります。
自然の石けんは動物脂と木灰が混じってできあがったものです。
人類は長い間、石けん作りのアルカリとして木灰(または海藻灰)を使っ
てきました。木灰などには炭酸カリウムや炭酸ナトリウムといったアルカ
リ分が入っているからです。
アルカリは、鹸化剤(けんかざい)とも呼ばれ、油脂を石けんにする働きを
持っています。自然のアルカリには、木灰、灰汁、ワラ灰、海藻灰などが
あります。
その後、18世紀になると海水(または食塩水)を分解して、カセイソーダ
(水酸化ナトリウム)を作り出す製造法が開発され、以後は油脂とカセイ
ソーダを反応させて、石けんが作られるようになりました。
油脂とカセイソーダが反応すると、副産物としてグリセリンができます。
このグリセリンをそのまま一緒に固めて作られる石けんと、食塩を加えて
グリセリンを分解し(塩析法といいます)、上澄みの純石けんだけを取り
出して作られる石けんとがあります。
また、カセイソーダ(水酸化ナトリウム)の代わりにカセイカリ(水酸化カリ
ウム)を加えて作られる石けんもあります。この石けんは液体状になりや
すいので「石けんシャンプー」などに使われます。
ところで、石けんを漢字で書くと石鹸となりますが、この「鹸」という字は
「あく」とも読み、アルカリを示している漢字です。また、灰は日本語で
「はい」「かい」と読み、「灰汁」は「あく」と読みます。アルカリ、カリウムの
「カリ」は「灰」を意味する化学用語です。
追加情報 油脂+木の灰→石けんになります。これがもっとも原始的な石けんです。 1790年、カセイソーダを大量に製造する方法が、フランスの化学者 ニコラス・ルブラン氏によって発明されて以降、ヨーロッパの石けん 製造は飛躍的に拡大しました。 |