もっと知ろう!石けんのこと

「石けんと合成洗剤」長谷川 治 著
発行所 合同出版株式会社 より抜粋


衣類についている汚れは、半分以上は水に溶ける(あるいは水に分散し
やすい)汗や無機塩やドロ、チリ、ホコリなどです。ですから水だけの洗
濯でも汚れを落とすことは十分可能なのです。水はすぐれた洗浄剤なの
です。
しかし、油やタンパク質の汚れは水だけでは落ちません。このため、石
けんや合成洗剤などの界面活性剤が必要になるのです。
また、水と洗剤の力を十分発揮させるためには、衣類をこすったり、もん
だり、たたいたり、ぶつけたりして汚れを浮き出させ、汚れと水をよく乳化
させて、水中に分散させ、洗い流すことが重要なのです。
この「水」と「物理的な力」と「洗剤」を「洗浄の三要素」といいます。洗濯す
るときは、この三つの要素をうまく発揮させる必要があります。
石けんの洗浄力は、合成洗剤より高いのですが、その力を十分発揮する
には、手で部分汚れをもみ洗いしたり、洗濯機の十分な回転の力が必要


なのです。石けんの洗浄力は冷水よりぬるま湯のほうが増強します。
日本ではあまり普及していませんが、コインランドリーなどで見かけるドラ
ム式洗濯機は、横に回転するドラムの中で洗濯物が上から下に落下し、
この力で洗濯します。たたき洗いの物理的な力と、ぬるま湯と石けんを
使うので、理想的な洗濯機でしょう。水、洗剤の使用量が少なく、繊維の
傷みが少ないという利点もあります。
ドラム式洗濯機は欧米では古くから使われている洗濯機です。最近日本
でも開発され、販売されるようになってきましたが、まだ価格が高く、重い
という難点の解消がいそがれています。
合成洗剤は浸透力は石けんより強力ですが、汚れを水に溶かし込む乳
化力は石けんより劣ります。この汚れ落しの弱さをカバーするために蛍
光剤を配合しています。蛍光剤を衣類に付着させ、白く洗いあげたように
見せているのです。


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