もっと知ろう!石けんのこと
「石けんと合成洗剤」長谷川 治
著
発行所 合同出版株式会社 より抜粋
ウイスキーや焼酎などのアルコールに、水を入れるときれいに混ざりま
すが、油を入れると混じりあわず、油が上、アルコールが下と、上下に
分かれてしまいます。
この二つの物質の境目を「界面」といいます。液体―液体だけでなく、
気体―液体、気体―固体、液体―固体にもそれぞれ界面があります。
この界面に働きかけて、「界面張力」(界面をできるだけ縮めようとする
力)を低下させる物質を「界面活性剤」と呼びます。
たとえば水と油の界面には、「界面張力」が働き、二つの物質は混じり
あいませんが、界面活性剤(石けんや合成洗剤)を入れるとこの界面
張力が低下し、水と油が混じりあうようになります。衣服や食品につい
た油汚れが、物の表面からはがれて水と混じりあえば、水と一緒に流
してしまえます。
界面活性剤には、界面活性作用のほかに、乳化(Q13参照)、起泡、
浸透作用などが強い物質があり、このような作用の強い界面活性剤
が洗浄剤として活用されています。
界面活性剤は、いわば仲の悪い友人の間に立つ、両方の気持ちがわ
かる人のような存在で、二人の仲をつなぎ留め、一緒にさせてしまう働
きをします。
石けんは界面活性剤として5000年も前から使用されており、安全性
も高いのですが、使われ始めてまだ60年ほどの合成界面活性剤は安
全性に問題があるという指摘が絶えません。
| 追加情報 「界面活性剤が入っているのが合成洗剤」といわれることがありますが、 これは間違い。石けんも陰イオン系の界面活性剤である脂肪酸塩(脂肪 酸ナトリウム、脂肪酸カリウム)です。ただわかりやすくするために、石け ん以外の界面活性剤を「合成界面活性剤」と呼び、区別する場合があり ます。界面活性剤は、洗剤以外に、化粧品、食品加工の分野などで広く 使われています。 |