もっと知ろう!石けんのこと
「石けんと合成洗剤」長谷川 治
著
発行所 合同出版株式会社 より抜粋
紀元前3000年、すなわち今から5000年前、ローマ時代の初期に
サポーの丘で、いけにえの羊を焼いて神に供える風習がありました。
したたり落ちた脂と木灰(アルカリ分)が混じって自然に石けんがで
きたのです。この地名であるサポーが英語の「ソープ」の語源となっ
たのです。
メソポタミア文明を築きあげたシューメール族は、羊毛を糸に加工
する際、羊毛についている脂を落とすために、石けんを使用してい
たといわれています。
12世紀になると、石けんはヨーロッパで工業的に生産されるように
なります。18世紀には海水からカセイソーダ(水酸化ナトリウム)を
取り出す方法が開発され、以後大量に製造・普及されるようんなり
ました。
石けんが日本に渡来したのは1543年(天文12年)で、ポルトガル
のキリスト教宣教師たちが持ってきた舶来品でした。ポルトガル語の
サボンが変化して、「シャボン」とよばれていました。いまでもシャボン
玉という言葉が生きています。
日本の石けん製造は1873年(明治6年)に始り、以来石けんの普及
は日本人の衛生の向上に多大な貢献をしてきました。
1950年、アメリカから輸入された原料によって日本でも合成洗剤が
製造され始めましたが、販売直後から環境汚染や皮膚障害などの
問題が起こりました。
いま、人類が長い間使用してきて、人と環境にやさしいことがわかって
いる石けんが、見直されつつあります。
| 追加情報 日本における民間の石けん製造販売は、1873年(明治6年) 横浜・磯子の堤磯右衛門によって始められました。 ハチミツ石けんやグリセリン石けんまで作って、化粧箱に 入れて売り出しています。その後次第に、大阪、東京でも 製造元が増えていきました。 |